Winter, spring, summer or fall
冬でも、春でも、夏でも、秋でも

Hey now, all you've got to do is call
君はいつでも僕を呼んでくれればいい

Lord, I'll be there, yes I will
僕はすぐに君の元に駆けつけるよ、約束するよ

You've got a friend.
そう、君には友達がいるのだから
“You've Got A Friend" James Taylor

■第十二章(1999.January)1■

「オフ会やるの?」
 アオヤマが怪訝な声で聞き返してきた。「ユキオが主催で?」
「なんかそういうことになっちゃったんだよ」僕は弱った声で言った。
「なんかの罰ゲームとかそういうの?」
「まあ大体そんな感じ」
「ふうん」とアオヤマは言った。あのアオヤマにすら興味を示してもらえない僕のオフ会! こんな調子で他の人達なんて本当に誘えるのだろうか? 僕はいきなり自信を失ってしまった。
「いいよ、なんだかよくわかんないけどユキオの頼みだ、協力するよ。人を集めればいんだろ?」
「ああ、頼む」と僕は言った。「最低限カッコのつくとこで10人くらいでいい。それ以上はまとめらんないから。あとなるべくオタクっぽいのを頼むよ。気を使わなくて良さそうなのを」
「注文多いなあ」とアオヤマが言った。「まあ適当に誘ってみるよ。日時は?」
「余裕見て来月くらいにしようと思ってるけど…いつがいいかな」
「ボクが知るわけないだろ」
「そう言うなよ、頼むよ、助けてくれよ」
 まったく格好悪いことこの上ない。今までアオヤマが僕にやってきたことを、今度は僕がアオヤマにやっている。




 アオヤマの次にはクボタに電話してみたが、こちらの反応は最悪だった。
「アオヤマといいお前といい、一人前面して何勝手なことやっとんねや。誰が育ててやった思うとんねん」
「そういう言い方はないだろ」
 僕はむっとした。確かに育ててもらったと言ってもいいような部分は大いにある、しかしだからといって当の本人に恩着せがましく言われる筋合いはない。
「俺は行かへんで。やるなら勝手にせえや。どうせ人集まらんで恥かくだけやろけどな」
「アオヤマの力を借りるからいいよ」
「アオヤマには俺から釘差しとくわ。お前に手え貸すなてな」
「おい、いいかげんに…」電話はそこで切れた。

 クボタの考えていることはなんとなくわかっていた。クボタにとって、僕とアオヤマは手塩にかけて育てた舎弟であり駒だったのだ。だがその駒が最近はクボタの思惑外のところで半端に力を持ち、自分の意思で行動するようになってきた。それがクボタには面白くないのだ。
 でも僕だってアオヤマだってあれから色々あって、少しは成長したのだ。僕らはもう以前ほどにはクボタの力を必要としなくなっていた。もちろん今まで助けてくれたことについては感謝しているし、返せる恩は返していきたいと思っていた。でもクボタのほうが僕らの成長を認めてくれないのなら、あくまでも僕らを駒としてしか見ず対等な友達と思ってくれないのなら――――僕はクボタと、少し距離を置くべきなのかもしれなかった。


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