May your heart always be joyful
君の心がいつも喜びに満ちあふれていますように

May your song always be sung
君の歌がいつも歌われていますように

May you stay forever young
君がいつまでも若くいられますように

Forever young, forever young,
いつまでも若く、永遠に若く

May you stay forever young.
君がいつまでも若くいられますように
“Forever Young" Bob Dylan

■第十一章(1999.January)4■

 「言う事を聞く?」
 ミユキの意外な提案に、僕は驚きの声を上げた。「何でも、なの?」
「何でも」とミユキは答えた。「さすがに死ねとか、そういう実現不可能なのはなしだけど」
「言うわけないだろ、そんなの」
「じゃあ勝負成立ってことでいいのね?」ミユキが指を付きつけてきた。
「望むところだ」
 僕らは目を見合わせ、同時におみくじの紙の開封にかかった。頭の中ではもちろん、何をお願いしようか必死で考えていた。
 僕と、つきあってほしい。結局のところ、僕の望みはそこに行きつく。僕が欲しいものはミユキだけだった。ミユキ以外に僕が欲しいものなんて何もなかった。
 そしておそらくはミユキは、僕の願いが自分と付き合って欲しいというものであることを、ちゃんとわかっているはずだった。わかった上で、こんな条件を持ち出してきた。それはつまり…きっかけを、僕に与えてくれていると判断するに至ったのは、これは僕の独り善がりではないはずだ。 期待して俄然張り切ってしまうのも、仕方ないことのはずだ。

 だが残酷な勝利の女神はまたしても僕には微笑まなかった。ミユキの運勢、大吉。僕の運勢、末吉。
 僕は激しく落胆した。千載一遇のチャンスを逃してしまった。新年早々ついていないことこの上ない。せっかく膨らみつつあった再告白の勇気が、またすごい勢いで萎んでいく音が聞こえるようだった。
「さーて、ユキオ君には何してもらっちゃおっかなー」
 ミユキがおどけた声で言った。
「もう何でも命令してよ」と僕は投げやりな声で答えた。
 まあこんな形とはいえミユキの願いを聞いて叶えてあげられる機会ができたのだから、これはこれでいいかという気持ちにもなってきた。それにミユキのほうから「わたしと付き合ってください」などと言い出すのではないか、という淡い期待がないわけでもなかった。
 しかし実際のミユキの僕への「命令」は、僕の予想のはるか斜め上を行くものだった。


「じゃあ、わたしの命令は…『ユキオ君主催で、オフ会を開くこと』」
「へ?」


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