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「ほめこです! いよいよ本書も大詰めですね、お楽しみいただけてますでしょうか。
せっかくの本をこのテキストサイト論が全部台無しにしてるんじゃないかとか、そういうことは極力考えない方向でよろしくお願いしまーす!」
「ぱげこでーす! ぱげこは別に企画がスベっても関係ないしいいやー。ギャラさえもらえればー」
「お願いだからもう少し危機感感じて! これスベったらあたしたちクビなのよ!?
とりあえず目の前の仕事を確実にこなしましょ、確実に…
『いわゆる「大手」さんがよくお持ちになっているらしい、裏サイトについてどうお考えですか?』
ハンドルネーム『三等兵』さんからの質問です。ありがとうございます」
「ほぇ、裏サイト? えっちなサイトっていう意味?」
「違うわ! 裏サイトってのはまあつまり、本家とは別にもう一つ持ってる秘密のサイトのことね。これ、意外にというべきかやはりというべきか、持ってる大手の人多いみたいなのよ」
「へぇ…なんで? 二つやってたらめんどくさいじゃん」
「大きなサイトになっちゃうと、どうしても気軽に書けないことが増えてくるのよ。こんなこと書いて誰か怒らないかなとか、つまんないって言われたらどうしようとか、そういうプレッシャーも少なからず出てくるでしょうね。そうなった時、書きたいことをまた昔みたいに好きに書ける場所が欲しくなる、という気持ちはなんとなくわからない?」
「ぱげこは書きたいこと書いてるからなぁ…」
「あんたの日記アニソンの歌詞とか書いてるだけやん。それが書きたいことなの? よくわかんないんだけどまあいいわ。とにかく、そういうものなのよ」
「あれはねー、歌詞書いてるんじゃなくてあたしが歌ってるんだよー。そう思って読んで」
「読めるかボケ! でまあ裏サイトをどう思うかってことだけど、それがガス抜きになるんだったら持ってても全然かまわないんじゃない? それで本家サイトの更新がおろそかになるのはもちろんどうかと思うけどね」
「歌ってる日記ってけっこう斬新だと思ったんだけどなぁ…
『管理人さんのサイトでのイメージと実際の人間性が大きく食い違う事ってやっぱりあるのでしょうか? むしろネットの世界では当たり前なんでしょうか?』
ハンドルネーム『ジェラシー岡』さんの質問です。ありがとうございますぅー」
「ほうほう、なかなか面白い質問ね」
「やっぱりネットと現実は違うんじゃない? だってお姉ちゃんなんか元ヤン上京組のくせに、自分のネットアイドルサイトでは山手育ちのお嬢様ってことになってるじゃん」
元ヤンは関係ねぇだろ!? 元ヤンは!? おおっ!?
「ヒィィ、こいつ急に変わりやがった!?」
「って、元ネタのわかりづらいコントはもういいのよ…このままじゃほんとクビになっちゃうじゃない! 真面目にいくわよ!」
「はーい、ごめんなさーい。 ヤキ入れられないよう頑張るー」
「(無視)テキストサイト管理人がキャラを作ってるか作ってないかと言われれば…『作っている』と答えざるを得ないでしょうね。ただ、100%作ってる人というのはまずいないわ。30%作ってる人もいれば3%しか作ってない人もいる。そして3%しか作ってない人に実際会ったら、誰だって『ネットと同じだな』って思うでしょうね。割合の問題かな」
「完全に素の自分のままというのは無理なの?」

「完全には無理。単純な話としてあんた、自分の住所氏名電話番号ネットで言える?」
「そんなの言えるわけないよぅ…」
「それは極端な話としても、例えばあんた中学中退よね。当時いじめられてたことの内容とかネットに書ける?」
「書けないよぅ…お姉ちゃんのいじわるぅ」
「でしょ、本当のあんたは今でもあの時いじめてた子たちを毎晩黒魔術で呪い続けてるじゃない? でもそんな醜い自分はネットには決して出さないわよね。何か一つでも隠したい、隠さなきゃいけないことがある限り、素の自分そのままを表すなんてことはできないわけよ。インターネット上のあんたは松嶋妙子という人格の都合の悪い部分にカバーを覆ったキャラクター『ぱげこ』を演じるわけであって、松嶋妙子本人とは微妙に違うのは当然ってこと。まあそれでも文章に人間性ってのはどうしても滲み出るもんだし、たまにカバーを覆うこともできないバカが各地で暴れ回るのがネットのお約束でもあるんだけどね」
「ふーん…よくわかんなかったけどお姉ちゃん、本名ばらすのやめて
「あれっ喋ってた? 気がつかなかったなーごめんごめん」
「絶対わざとだよー! なによ、お姉ちゃんなんか自宅の前で田舎から追ってきた族仲間のシャコタンクラウンに一週間張られて結局警察沙汰にしたくせに!」
「元ヤンは関係ねえって言ってるだろ!? 元ヤンは!?」
「ふーんだ、ぱげこの本名バラした罰だよーだ!
ということで、本書も次章で最終章です。しつこくもしぶとく続けさせていただいたこのテキストサイト論もついにあと一回です、皆さん最後までよろしくおつき合いお願いします」
「もうあたしたちクビ確定ね…とほほ」

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