第伍回「トム・ソーヤーの冒険」
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ベッキーは、おずおずと身をかがめ、息がトムの巻毛をくすぐるほど顔を近づけてささやいた。「わたしは――あなたを――愛してるわ!」 トム・ソーヤーという小説については今さら語るまでもないだろう。僕も子供の頃は夢中になって読んだものだ。ただし冒険物語に夢中になっていたわけではなくヒロインのベッキーたんに夢中になっていただけなのだが。 ベッキーは転校早々やんちゃなトムのペースに巻き込まれ、口八丁手八丁で結婚やキスといった「女の子の憧れ」的概念を生まれて初めて吹き込まれてしまう。そしてまんまとその気にさせられて、キスされた上に「あんた以外の人を好きにならないわ」なんて言わされてしまうのだ!! 賢明な読者ならばすでにお気づきだろう、これはいわば幼女調教である。無垢な少女に性の悦び、男のモノになる快感を植え付ける、そんなマニアックなSMプレイをこんな子供向け小説の中にさりげなく混ぜるのだからマーク・トウェインも油断ならない。どれくらい油断ならないかというと藤子F先生の描くしずかちゃんのお風呂シーンくらい油断ならない。なんの話だかよくわからなくなってきたがとにかくベッキーたんは純粋で素直で、トムのようなエッチな男の子に翻弄されまくりなところがとてもとても可愛いのだ。アメリカの片田舎という舞台を超えて、ベッキーという少女は日本人の僕にもかつて間違いなく教室の片隅に存在していた「おませな美少女」の記憶を蘇らせてくれる。なるほど、この小説が今も世界的に読み継がれている理由がなんとなくわかったような気がする。つまりはロリは世界の標準語ってことだ(すごいまとめ)。
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