「テキストサイトなんかほとんど見てないよ。嫌いだもの」


「え、嫌いなんですか?」
「ああ、嫌いだね…あんなもの、くだらないガキの遊びさ」
「でも、由起夫さん更新いつもすごく楽しそうだし、実際アクセス数だって…」
「そう見える?」
 俺は淋しげな目でマユミを見つめた。「時々ね、アクセス解析を見つめながら虚しくなることもあるんだよ。こいつら全員本当の俺のことなんか何一つわかっちゃいないんだ、って。みんな俺のことを裏表のない、人当たりのいい陽気な馬鹿だと信じて疑ってない。俺に言わせれば連中のほうがよっぽど脳天気な馬鹿共さ。俺が更新するたび吐き気と闘っていることになんて、これっぽっちも気がついちゃいないんだからな」
「………」
「でも、今日ばかりはそんなことは忘れられそうだよ。だって君みたいな、可愛い子に会えたからさ」
「えっ…そんな…」
 マユミは頬を赤らめた。手応えは充分だ。

 そこで俺は…
A:「マユミちゃん、今晩の予定は空いてるの?」
B:「マユミちゃん、そろそろ夜だよ。今日はこの辺にしよう」